I will give you all my love
こんにちは。
あれから何度も、ローレンシアちゃんにデートに誘われます。
僕が勇気を振り絞った日も、いつも先に誘ってくれるのはローレンシアちゃんです。
行動力があって、本当に素敵な女の子です。
それに反して、僕は相変わらずの意気地なしです。
ある日、
いつもの畑仕事を終えると、ローレンシアちゃんが家に向かっていました。
なんとなくついていきます。
「こ、ここが…ローレンシアちゃんの家…」
意を決して中へ。
ご両親がいたら、すぐおいとましよう…!
「あれー?ルーカス君!おはよー!」
ローレンシアちゃんだけだ…!
「おはよう」
「どうしたの?こんなところまで」
「あ…い、いや、元気かなって!」
「またご飯食べてないと思った?今食べたところだよ♪」
ローレンシアちゃんが無垢すぎて僕は泣きそうになりました。
お昼、ローレンシアちゃんが昨日誘ってくれたデートに行きます。
「今朝はビックリしたよー、まさかルーカス君が家に来るなんて!」
「へ、変な意味じゃないんだよ」
「ふふ、分かってるよ、ルーカス君はそんなことできないって、知ってるもん♪」
悔しいけど、図星です。
でも、いつまでもそんなこと思われてちゃ、男の名が廃ります…!!
僕は何回かのデートで初めて、行動に移すことに決めました!
「今日も楽しかったよ、またね♪」
「あ、あのさ…!」
「えっ…」
「い、いや、その…」
「ありがとう、お願いします!」
頑張った…とても頑張った…今日はワインを飲みたいくらいに頑張った…!
お互い妙に無言のまま、ローレンシアちゃんの家に着きます。
「ありがとうね、ルーカス君…」
「う、うん…」
僕らには珍しい沈黙が幕を下ろします。
デートは終わったんだ。僕はもう家を出ればいい。
なのに、足が動きません。
まだ何か足りないような、寂しいような、そんな気持ちが僕の心を支配します。
「ロ、ローレンシアちゃん…」
「うん…?」
これが、僕とローレンシアちゃんの、ファーストキスなのでした。