小さな装飾品
こんにちは。
ある日僕は、マルチェロ君にダンジョンに誘われました。
小さな装飾品のことかな…
あんまり…話したくないけど…
「…わかったよ」
マルチェロ君は何も言いません。
ただ無言で、淡々と魔物を倒していきます。
『……』
無言のままダンジョンを制覇して外に出ると、みんな心配していたのか、入り口に待っていました。
僕はその間を逃げるように抜けようとしました。
「ル、ルーカス…!」
マルチェロ君が僕を呼び止めます。
「ちょっと、ついてきてほしい…」
連れてこられたのはあの酒場です。
マルチェロ君はおもむろに切り出しました。
「あの…ごめん…」
「…」
「言い訳するつもりはないんだ…ただ、その…妻に浮気を疑われて……。捨ててしまったことは本当に申し訳ないと思ってる…ごめん…」
このことの信ぴょう性は怪しいです。
でも、その捨てられた装飾品は、また誰かの手に渡って、本当に必要な人の元で輝いている。
理由は何であれ、元々いらなかった人の元にあるより、だいぶいいじゃないか。
「いいよ。元々押し付けた僕も悪かったんだ」
「あ…ありがとう……!」
それから、今まで話さなかった分を取り戻すように、2人でたくさん話しました。
帰り際にマルチェロ君にこんなことを言われました。
「もちろん、大切な親友だと思ってるよ!」